
サイズ:軸幅1,100㎜、長さ1,476㎜、軸径30㎜
太芯付・桐箱・タトウ箱入り
価格:¥550,000
書や絵画を掛け軸に仕立てることを「表具」あるいは「表装」という。
伝統的な日本建築は和室に床の間を持ち、迎える客人や、季節などによって様々な書画をかけた。丸めればコンパクトに収納でき、広げれば大画面があらわれる掛け軸は、テレビもスマートフォンもない時代において、もっとも身近なビジュアルエンターテインメントだった。
額縁により絵の見え方が大きく変わるように、表具によって書画の見え方は変わる。作品の力や魅力を引き出すのが「表具師」の技量である。
今回、表具をお願いしたのは、京都、立入好和堂の村山秀紀。現代美術や写真など、様々な作品の表具を手がけてきた。
グレーの布(きれ)。中央に走る紅のラインは、左右の布をつなぎ合わせる役目を持ちながら、空間に緊張感を与えている。軸先は黒。こうした仕様は、村山の提案をもとに、久保帯人が監修を行う形で完成した。
表具にあたっては、美濃和紙を裏表ではぎ、裏打ちを行う。紙の繊維が層になる和紙だからこそ可能な工程である。
(*この工程で、和紙の裏側ははがされ、「MA」のすかしは見えない状態になります。あらかじめご了承ください)
収納にあたっては作品がきつく巻かれてダメージを与える可能性があるため、「太芯(ふとしん)」と呼ばれるアタッチメントで軸をはさんでから巻く。箱は、伝統的な桐箱。木が呼吸し内部の湿度を安定させるとともに、防虫効果も持つ。この桐箱を、さらに紙製のタトウ箱に収める形にした。

*掛軸の掛け方、しまい方と取り扱い上の注意については、こちらをご覧ください。
*湿気や乾燥が極端なところで保管すると、全体的に波打ったり、カビが発生するなど、作品が変形、破損する危険性があります。理想は湿度50~60%くらいです。特に海外での保存や展示ではご注意ください。
*掛け軸の取り扱いには注意が必要です。画面を触らない、巻きあげる際に表面をできるだけこすらない、きつく巻きすぎない、落とさない、など。画面がガラスやアクリルで保護されていないため、汚損、破損する場合があります。