活版平台印刷
活版平台印刷
モノクロームの物語表現であるマンガは、その草創期から、最も原初的な印刷方式である活版印刷で刷られてた。現在でも「週刊少年ジャンプ」をはじめとするマンガ誌は、カツリンと通称される活版輪転印刷で制作されている。
活版印刷は、印刷用の樹脂板に付着したインクを直接紙に押しあてて転写する、原初的な印刷方式である。こうした印刷がされることを前提に、マンガの表現は進化してきた。
例えば文字。マンガの文字組版では、ひらがなやカタカナがセリフ体(明朝体)、漢字がサンセリフ体(日本ではゴシック体と通称されることが多い)の「アンチゴチ」とよばれる書体が基本書体となっている。これはマンガの草創期、活版印刷で印刷したときに、可読性が損なわれないために選ばれたという話もある(「アイデア No.336」2009年9号・誠文堂新光社 参照)。またスクリーントーンによる表現も、グレーが表現できない活版印刷でグレーやパターンを表現するため、デザイン用の画材を流用したことからはじまっている。
活版輪転印刷は大部数の制作用のため巨大な再生紙のロール紙にしか印刷できないが、活版平台印刷機では様々な用紙にプリントを行うことができる。かつては東京都内を含め日本全国で見られた活版平台印刷機だが、オフセット印刷機にとって代わられ、現在は大型のものは見かけることが少なくなっている。
もともと活版印刷に最適化した表現であるマンガを、現在考えうる最高のクオリティの活版印刷で作品化できないだろうか。これが我々の問いだった。
活版平台印刷機を用い、強い印圧でプレスする。オフセット印刷でも、リトグラフ印刷でも、シルクスクリーン印刷でも不可能な、物理的なインパクトのある唯一無二の表面。そこに触れると、印刷面が凹んでいることが分かる。
作品によって、細い描線の繊細な表現とスミベタの力強い表現を両立させるため、複数の版を使用している。
マンガ作品はもちろん、希少になった印刷機と、印刷技術を後世に伝えていくことも目的にしたコレクションである。
蔦友印刷(長野)での印刷風景 TOKYO LETTERPRESS(東京・神楽坂)での印刷風景 日光堂(東京・浅草)での印刷風景




