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田名網 敬一
Keiichi Tanaami

Tanaami!! Akatsuka!! / Revolver 2 「鏡を見ている」

1082mm x 754mm,editions 111
作品ID
REV_GR_002
作品サイズ
1082mm x 754mm
枚数
1
用紙
White Kingdom
販売形態
regular
エディション
111

ABOUT THE WORK


作品について

グラビア印刷機を用いて制作されたプリント作品、「リボルバー」第二弾。
(edition 111のうち、今回、最大30点を先行抽選販売。今後、ギャラリー等での販売を予定)

「鏡」は田名網敬一の重要なテーマのひとつであり、2022年に公開されたピカソの模写のシリーズにも「世界を映す鏡」というタイトルがつけられている。この作品は、左右に分割して配置されたキャラクターが描かれ、どこか万華鏡をイメージさせるが、よく見れば描かれている内容は左右非対称であり、より複雑で豊かだ。

中央には赤塚不二夫のマンガに登場する女の子の顔。そこに田名網による発光する目がコラージュされる。その座る姿は仏像を想起させ、全体はカラフルな曼荼羅のようだ。東西南北の文字が見えるが、これらは麻雀牌であり、麻雀での方角(反時計まわりに東南西北)とは逆の配置になっている。アニメ『天才バカボン』のテーマソングでは、太陽は西から昇り、東に沈む。鏡の中の、裏返しの世界でも、反対こそが真実……。

ニャロメ、レレレのおじさん、ケムンパス、ダヨーンのおじさん、バカボンが卓を囲む異次元空間。そこにカラフルなダイスが投げ込まれ、不可思議なゲームがはじまる。

*プリントにサイン(直筆)

SOURCE ART WORKS’ INFO

制作方式
デジタル
パブリッシャー
集英社

ARTIST

Keiichi Tanaami田名網 敬一

1936.07.21 ~ 2024.08.09

1936 年、東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業。1958年日宣美特選を受賞。60年代に、アメリカのカウンターカルチャー、ポップアートの洗礼を受け、アニメーション作品からシルクスクリーン、漫画的なイラストレーション、コラージュ、実験映画、ペインティング、立体作品など、メディアやジャンルに捕われず、その境界を積極的に横断して創作活動を続けた孤高のアーティスト。アンディ・ウォーホルとの出会いに触発され、現在に至るまで「編集」というデザインの方法論を用いながら、「アートとデザイン」、「アートと商品」、「日常の美」、「大衆とアート」といった今日の現代美術が抱える主要な命題に対して実験的な挑戦を試み続けた。その半世紀以上の創作活動を通して、戦後の日本を代表するPOP ARTの先駆者の一人として、世界的に高い評価を得ている。近年の田名網の主要な展覧会として、回顧展 「田名網敬一 記憶の冒険」(2024年、国立新美術館、東京)、「TANAAMI!! AKATSUKA!! That’ s All Right!!」(2023年、PARCO MUSEUM TOKYO、東京)、「世界を映す鏡」(2020年、Nanzuka Underground、東京)、個展「TOKYO POP UNDERGROUND」(2019年、Jeffrey Deitch、NY)、「Keiichi Tanaami」(2019年、Kunstmuseum Luzern、ルツェルン、スイス)、「The World Goes Pop」(2015年、Tate Modern、ロンドン、イギリス)、「International Pop」(2015年、Walker Art Center、ミネアポリス)など多数。また、MoMA( ニューヨーク )、Walker Art Center (ミネアポリス)、シカゴ美術館、M+(香港)、National Portrait Gallery (スミソニアン博物館、ワシントン )、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館 (ベルリン )などのパーマネントコレクションに収蔵されている。

制作技法

Gravure


グラビア プリント

第二次世界大戦後。高度成長期の日本で、無数のイメージがグラビア印刷でプリントされてきた。その鮮やかな色彩に、人々は魅了された。「グラビアアイドル」という呼称は、グラビア印刷から派生した言葉だ。時代は変わっていく。グラビア印刷機は巨大であり、小部数の印刷には適さなかった。2021年末、集英社の出版物におけるグラビア印刷は終わりを迎えた。

リトグラフのような印刷手法は、商業印刷としては廃れながら美術印刷に道をみいだし、延命してきた。しかしグラビア印刷は、その規模と仕組みから考えて、一度止まれば再度稼働させることは非常に困難である。この最後の機会に、集英社マンガアートヘリテージは、
グラビア印刷機を用いてアートプリントを制作することを考えた。グラビアプリントと、その制作の記録を後世に伝えるプロジェクトだ。

我々は田名網敬一に、このプロジェクトのことを話した。1936年生まれ。幼少期に第二次世界大戦を経験し、戦後、デザイナー〜イラストレーターとして活躍した田名網は、「日本版PLAYBOY」(1975〜2008/集英社)の初代アートディレクターでもあった。

「是非やりたい」

田名網は応えた。そして最初の打ち合わせで「赤塚さんとのコラボレーションはどうだろう」と話した。最初の依頼から2ヶ月もたたないうちに、田名網は20点を超える作品を制作。2021年末。その中から6点が選ばれ、グラビア印刷された。

印刷機の長さが約60メートル。高さが約15〜20メートル。山手線の車両の長さが1両約20メートルなので、約3両分。高さは5〜6階建てのビルに相当する。一般的な住宅よりも、はるかに大きい。その内部に、上下しながら、120〜130メートルの紙が通されている。

印刷にあたっては、表面を銅メッキした円筒形の版が用いられる。長さ約2メートル。直径約25センチメートル。重量1.5〜2.0トン。カラー印刷を行うには、C(シアン=ライトブルー)、M(マゼンタ=ピンク)、Y(イエロー)、K(キープレート=ブラック)の4版が必要になる。最盛期には、凸版印刷(現TOPPANクロレ)の川口工場だけで600本を超える版が運用されていた。

かつてはフィルムを用い、化学的に腐食させて版を作成していたが、1990年代以降、ダイヤモンド針を用い、データから直接版を刻む方式が一般化。今回の作品も同じ技法が使われている。

通常、1本の版に対し4〜6本のダイヤモンド針を設置し、シリンダーを回転させながら同時に版にイメージを刻んでいく。1枚の紙に複数のページを割り付ける雑誌の印刷であれば問題はないのだが、今回は1枚の紙に1枚の大判作品を印刷するため、つなぎめに細い線が入ってしまうことが分かった。このためダイヤモンド針を1本のみにし、雑誌印刷では約1時間半で終える彫刻に、約5時間をかけることになった。空前絶後の製版作業である。イメージが刻まれた版には、クロムメッキが施され、硬度が約200から約1000に上昇。100万部の印刷に耐える版となる。

印刷にあたっては、グラビア印刷用の液体状のインクが用いられる。濃度を確認するため使われるのは、ザーンカップ(Zahn Cup)と呼ばれる軽量カップ。底に直径3ミリの穴が開けられている。何秒で各色の液体が落ち切るのかを計測し、これをもとに濃度を調整するのだ。各色の落ちる速度は、Y(イエロー)11.13秒、M マゼンタ=ピンク)11.31秒。C (シアン=ライトブルー)11.44秒、K(キープレート=ブラック)11.56秒。色調整のため、各色担当のスタッフがストップウォッチで時間計測の意識をあわせる。熟練が要求される仕事である。

警告音が工場に響き、印刷がはじまる。

印刷のスピードは、通常、1時間に約600回転。オリンピック選手が100メートル走を駆けるのと同等のスピードで、紙が流れる。オフセット印刷では色が濃いK(ブラック)から、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の順に刷られるが、グラビア印刷では色が薄いYMCKの順になる(*印刷会社により変動あり)。

今回、グラビア印刷機によるアートプリントを制作するにあたり、1本のダイヤモンド針による彫刻以外にも、戦後はじめての挑戦が行われた。

グラビア印刷機は巨大であり、版の作成にも時間がかかるため、実際に印刷を行う機械でテスト印刷を行うことができなかった。校正刷りにはオフセット印刷機を用い、クライアントからOKがでたオフセット印刷の色にあわせてグラビア印刷が行われてきたのである。実際は、グラビア印刷にはオフセット印刷以上の色表現能力があるにも拘らず、数十年にわたり、その能力は意図的に制限されてきた。

その制限が、出版グラビア最期のときに、取り払われた。

オフセットの印刷領域を超える、Adobe RGB領域での製版と印刷。これにより、鮮やかで深い色彩でのプリントが可能になった。

2021年11月。グラビア印刷の稼働の様子を視察し、その校正刷りを見た田名網敬一は、「驚きの印刷」と評した。

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