作品について
大暮維人は2017年頃から作画にデジタルツールを取り入れ、現在のマンガ制作は主にデジタルで作画されている。
2021年8月に発売された『大暮維人画集 &Blast』のために描き下ろされたこの絵も、タブレットを用いて描かれている。
こちらに眼差しを向けているのは、女なのか、機械なのか。
揺れる赤いショートヘア。物憂げなグリーンの瞳。グロスをひいた柔らかそうなピンクの唇。シフォンのスカーフから少しだけのぞく乳首。これらは生身の女性を感じさせる。
しかしその肋骨から下は黒鉄色の機械の身体であり、風にまくられたスカートのように広がるのは無数の銃身である。しかもこれらはレーザー砲ではなく、繋がって揺れる銃弾を見ると、実弾を発射する兵器らしい。発砲直後なのか、赤みがかった煙が風になびいている。
ここに描かれた姿は、あの有名なマリリン・モンローの『七年目の浮気』のシーンを思わせる。白いスカートが、地下鉄の風に舞い上げられる有名な光景。しかしマリリンと違い、この女/機械は、自らスカート状の銃を大きく開き、挑発と威嚇を同時に行ってくる。
*この作品は1枚セットです。
*プリントにサイン(直筆)
1995年「漫画ホットミルク」(白夜書房)掲載『SEPTEMBER KISS』にてデビュー。「ウルトラジャンプ」(集英社)にて『天上天下』、『バイオーグ・トリニティ』(舞城王太郎と共作)、「週刊少年マガジン」(講談社)にて『エア・ギア』を連載。『エア・ギア』では第30回講談社漫画賞少年部門を受賞。アニメ、ゲームのキャラクターデザインも多数手がける。現在は「週刊少年マガジン」誌上で『化物語』(原作:西尾維新)を連載中

アーカイヴァル インクジェット プリント
マンガの原画、特に染料系のマーカーで着彩されたカラーイラストレーションは、非常に褪色しやすい。マンガ雑誌の表紙や口絵、コミックスのカバーのために描かれるイラストレーションは、もともと原画そのものが展示〜鑑賞されることを前提に描かれてはいない。印刷され、雑誌やコミックスとして読者の手元で見られることを想定して制作されているのである。線画をコピーしたうえに着彩されているものも多く、キャラクターと背景で切り貼りされているものもある。変色した色の修正を含め、これらの作品化にあたってはレタッチが必要となる。

2008年からマンガのデジタルアーカイブを進めている集英社では、当初は高精度スキャナEverSmart Supreme II、2015年からは高解像度のデジタルカメラPhase One IQ180により、カラー原画をキャプチャーしている。2020年からはPhase One のCultural Heritageシリーズを使用。商業印刷では再現できない色の領域まで撮影〜保存することができ、絵が描かれた紙のテクスチャーまでも取り込むことが可能である。
このデジタルアーカイブデータと撮影機材を活用し、原画が描かれた当時の色彩を復元すべくレタッチ。原画〜データ〜プリンタをつなぐ適切なカラーマネジメントを行い、プリントを行っている。
またデジタル作画された作品においては、商業印刷で一般的なsRGB領域ではなく、より広い色域を持つAdobe RGB領域でのカラーマネジメントとプリントを行い、深く鮮やかな色を表現している。
