作品について
1972年「週刊少年ジャンプ」42号(10月2日号)の扉絵に掲載されたイラストレーション。2024年、この絵を高解像度カメラにより撮影。デジタルレタッチを施し、アーカイバル・インクジェット・プリンタを用いてコットン100%の用紙にプリント。原画原寸サイズとA1拡大サイズの2枚セットで作品化した。
掲載号の表紙には、「マジンガーZ /機械の巨神」(MAZ_RC_003_A1)と後に名付けられた作品が掲載されている。表紙をめくると、この絵が「迫力新連載!」「SFロボット漫画 マジンガーZ」の文字とともに現れる。
グリーンの背景。黒い巨大ロボットの姿がある。光る黄色い目。赤い縁取りは、歌舞伎の隈取(くまどり)を思わせる。隈(くま)は光と陰の境界であり、赤い紅隈(べにぐま)は歌舞伎では正義感や勇気をあらわす。何かをかきむしるように両手をかかげ、前方に踏み出す兜甲児。神にも悪魔にもなりうる力を、彼は制御することができるのか……。
右に見えるのは、少年ジャンプの入稿印。「少年ジャンプ〜原稿」の文字が読める。連載作品の原稿には、こうした入稿印が押されるのが通例であり、掲載号などが記載される。印刷原稿としてのマンガ原画のユニークさを示すものとして、入稿印のイメージを残す形でプリントした。
作品化にあたり、永井豪自身により「マジンガーZ /心の闇」のタイトルが与えられた。
*この作品は2枚セットです。
*プリントにサイン(直筆)
1967年『目明しポリ吉』(「ぼくら」掲載)でデビュー。1968年『ハレンチ学園』を「週刊少年ジャンプ」で連載開始。社会現象となる。1972年にはテレビアニメーションの企画と同時並行し『デビルマン』を「週刊少年マガジン」に、『マジンガーZ』を「週刊少年ジャンプ」に連載する。1973年には『キューティーハニー』を「週刊少年チャンピオン」で連載。ギャグ・コメディからダークファンタジー、SF、ホラーなどその作品は多岐にわたる。2024年現在も連載作品を持つ。2019年には、フランス政府から芸術文化勲章(シュヴァリエ)を授与された。
主人公が巨大ロボットに搭乗し、異形の敵と戦う。
1972年。永井豪は、テレビアニメーションとマンガ連載の企画を同時並行で立ち上げ、その作品世界とキャラクターグッズをつなぐことで、現在につながる巨大ロボットの作品世界とマーケットを創造した。ここから始まった流れは、『ゲッターロボ』(1974–)、『機動戦士ガンダム』(1979–)、『新世紀エヴァンゲリオン(1995–)』へと繋がっていく。
『マジンガーZ』に続き、『グレートマジンガー』(1974)と『UFOロボ グレンダイザー』(1975–)がシリーズ続編として制作され、アジア〜ヨーロッパ〜中南米で大ヒット。グレンダイザーは『グレンダイザーU』として2024年に再びアニメーション作品化された。

アーカイヴァル インクジェット プリント
マンガの原画、特に染料系のマーカーで着彩されたカラーイラストレーションは、非常に褪色しやすい。マンガ雑誌の表紙や口絵、コミックスのカバーのために描かれるイラストレーションは、もともと原画そのものが展示〜鑑賞されることを前提に描かれてはいない。印刷され、雑誌やコミックスとして読者の手元で見られることを想定して制作されているのである。線画をコピーしたうえに着彩されているものも多く、キャラクターと背景で切り貼りされているものもある。変色した色の修正を含め、これらの作品化にあたってはレタッチが必要となる。

2008年からマンガのデジタルアーカイブを進めている集英社では、当初は高精度スキャナEverSmart Supreme II、2015年からは高解像度のデジタルカメラPhase One IQ180により、カラー原画をキャプチャーしている。2020年からはPhase One のCultural Heritageシリーズを使用。商業印刷では再現できない色の領域まで撮影〜保存することができ、絵が描かれた紙のテクスチャーまでも取り込むことが可能である。
このデジタルアーカイブデータと撮影機材を活用し、原画が描かれた当時の色彩を復元すべくレタッチ。原画〜データ〜プリンタをつなぐ適切なカラーマネジメントを行い、プリントを行っている。
またデジタル作画された作品においては、商業印刷で一般的なsRGB領域ではなく、より広い色域を持つAdobe RGB領域でのカラーマネジメントとプリントを行い、深く鮮やかな色を表現している。
