作品について
1938年。第二次世界大戦が始まる1年前。「柱の男」の謎を追い、ジョセフ・ジョースターはニューヨークからメキシコに乗り込む。サボテンが自生する乾いた大地。バイクのエンジン音が響き、太いタイヤが砂塵を撒き散らす。
生きた馬の時代から、鉄の馬の時代へ。19 世紀末、ドイツでガソリンエンジンを積んだ二輪車がはじめて作られた後、20世紀アメリカでオートバイ(auto bicycle)は進化を遂げる。
鉄とガソリンと砂塵。
レンチキュラープリントによるこの作品からは、機械を馬のように乗りこなす興奮とロマンが溢れ出している。
『ジョジョの奇妙な冒険』第二部「戦闘潮流」からは、ジョセフが波紋を繰り出すシーンで
はなく、あえてこのシーンが選ばれた。
重い金属の塊が奏でる重低音。目で音を聴き、熱された大気を感じる、体感的な作品である。
1980年、『武装ポーカー』で第20回手塚賞に準入選し、「週刊少年ジャンプ」でデビュー。1986年から同誌で『ジョジョの奇妙な冒険』の連載をスタートする。シリーズ累計発行部数は1億2000万部を超える。2025年現在、「ウルトラジャンプ」に『The JOJOLands』を連載中。
2009年、ルーヴル美術館の企画展に参加。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(Rohan au Louvre)を発表。2013年には、全世界のGUCCI直営店でコラボレーションワークが展開される。2018年、国立新美術館(東京)で「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」を開催。現役のマンガ家の個展が国立の美術館で開催されたのは、これが初めてである。
荒木飛呂彦の代表作。シリーズの単行本は合計で100巻を超える。時代や国を超え、「ジョジョ」の愛称を持つ主人公が仲間と共闘し、宿敵に立ち向かう。2026年現在、第9部にあたる『The JOJOLands』を「ウルトラジャンプ」にて連載中。

レンチキュラー プリント
レンチキュラープリントは、シート状の「レンチキュラーレンズ」を貼り、イメージをアニメーションさせたり、立体的に見せたりするプリント技法である。今回の作品では、イメージを立体的に見せる技法を用いている。
人間の両眼が持つ視差を利用することで立体視を実現するレンチキュラープリントは、単眼であるカメラの撮影ではその効果を再現することができない。人がその両眼で見たときにのみ、最大の効果を持って現出する。パララックス(視差)バリアとして知られるこの技術は、100年以上の歴史を持つ。1915年にはアメリカで特許出願された記録があり、1940年代にはパリで3Dレンチキュラーのプリントサービスを行うスタジオが開業している。60年代にはカラーのレンチキュラープリントの大量生産が可能となり、爆発的な人気を得た。絵葉書などお土産として作られるものが多かったが、大画面のプリントの作成も可能になったことで、ファインアートのプリント作品にも用いられることとなった。
近寄り、遠ざかり、左右に歩きながら、瞬間であるはずのシーンを、拡張された時間のなかで鑑賞する。マンガという表現形式とレンチキュラープリントの技法が結合した、新たな体験が得られるはずである。
荒木飛呂彦「JOJO/Lenticular works 1」(2025)*レンチキュラーレンズを用いた作品のため、本体にサインは入りません。
*作品本体は布袋に入れたうえで、専用のプラスチックボードに収納してお送りします。
*各作品は、ケースに収めた状態で、縦約1.5メートル、横約1.3メートル、厚さ約3センチ、重量約15〜20キロと、大きなサイズになります。
