作品について
ドリス ヴァン ノッテンとのコラボレーション。
ドレスをまとうシャルル-アンリ・サンソンが、颯爽とこちらに歩いてくる。手にしているのはクラッチバッグ、履いているのはショートブーツである。
通路の向こうからの強い光に照らされて、その身体は神聖に光り輝いてみえる。たなびく黒髪は、それ自体が意思をもって動いているかのようだ。
作品のタイトルでもある「無垢」を意味する白いバラが、彼を祝福するかのように宙に舞っている。
ファッション誌「SPUR」2020年11月号の特集「POWER OF MANGA/漫画がモードを描くなら」に掲載された。
同時収録されるドローイングプリントでは、この作品の描きはじめがどのようなものであったかを鑑賞できる。
*この作品は2枚セットです。
*プリントにサイン(直筆)
1990年、『キース!!』で「週刊少年ジャンプ」第70回ホップ☆ステップ賞入選。同作でデビュー。『孤高の人』『イノサン』『イノサン Rougeルージュ』の写実的な描写で知られる。『イノサン』より、フルデジタルでの作画を行う。デジタル作画に移行したことで「何度でも描きなおせる」「表現を突き詰める」ことができ、新たな世界が開けたと話す。
『孤高の人』が第14回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。『イノサン』が第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出、第18回手塚治虫文化賞ノミネート、マンガ大賞2015第7位。『イノサン Rougeルージュ』が第21回、第22回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。2021年現在、「グランドジャンプ」に『#DRCL』連載中。
18世紀・フランス革命期のパリを「無垢」に生き抜く、死刑執行人の兄妹を描く。国王ルイ16世の斬首刑を指揮したシャルル‐アンリ・サンソンと、妹マリー‐ジョセフ・サンソンを主人公にしている。続編として、2015年より「グランドジャンプ」で『イノサン Rougeルージュ』を連載。「すさまじい画力」「これはマンガなのか? 絵画なのか?」と多くの読者を驚嘆させる。2019年、宮本亞門脚本・演出による舞台「イノサンMusicale」が上演された。

アーカイヴァル インクジェット プリント
集英社マンガアートヘリテージはエプソンと業務提携し、カラーマネジメントのサポートとプリントを委託している。同社のインクジェットプリンタで使用される顔料インクは耐光性を備え、原画に使用された染料カラーインクが色あせてしまうような光のもとでも、オリジナルの色彩を保ち続ける。

インクジェットプリントは、紙などの素材に直接微小なインクの粒を飛ばして定着させる印刷技術。その方式には、大きく分けてサーマル方式とピエゾ方式がある。インクを加熱し、発生した泡を利用してインクを飛ばすのがサーマル方式。電圧をかけると変形する物質=ピエゾ素子の力でインクを飛ばすのがピエゾ方式。EPSONはピエゾ方式を採用し、進化させ、独自のマイクロピエゾ方式として確立させている。
ピエゾ方式のメリットのひとつに、インクの成分が限定されにくいことがある。インクに熱をかけないため、油性の顔料のように沸騰しにくい成分を使うことも可能である。これによりEPSONは、より耐光性・耐候性にすぐれたプリントの開発を目指してきた。特に顔料インクによるプリントは、高い保存性を持っている。
*強い紫外線の元での耐光性・高温多湿等の環境化での耐久性を保証するものではありません。ご注意ください。展示には紫外線カット効果のあるアクリルフレームの使用を推奨します。
マンガの原画、特に染料系のマーカーで着彩されたカラーイラストレーションは、非常に褪色しやすい。マンガ雑誌の表紙や口絵、コミックスのカバーのために描かれるイラストレーションは、もともと原画そのものが展示〜鑑賞されることを前提に描かれてはいない。印刷され、雑誌やコミックスとして読者の手元で見られることを想定して制作されているのである。線画をコピーしたうえに着彩されているものも多く、キャラクターと背景で切り貼りされているものもある。変色した色の修正を含め、これらの作品化にあたってはレタッチが必要となる。

2008年からマンガのデジタルアーカイブを進めている集英社では、当初は高精度スキャナEverSmart Supreme II、2015年からは高解像度のデジタルカメラPhase One IQ180により、カラー原画をキャプチャーしている。2020年からはPhase One iXH、Cultural Heritageシリーズを使用。商業印刷では再現できない色の領域まで撮影〜保存することができ、絵が描かれた紙のテクスチャーまでも取り込むことが可能である。
このデジタルアーカイブデータと撮影機材を活用し、原画が描かれた当時の色彩を復元すべくレタッチ。原画〜データ〜プリンタをつなぐ適切なカラーマネジメントを行い、プリントを行っている。
またデジタル作画された作品においては、商業印刷で一般的なsRGB領域ではなく、より広い色域を持つAdobe RGB領域でのカラーマネジメントとプリントを行い、深く鮮やかな色を表現している。
