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大暮維人
Oh!great

バイオーグ・トリニティ / バイクに乗る極子

A2 (594 x 420mm),editions 25
作品ID
BT_TP_001
作品サイズ
A2 (594 x 420mm)
枚数
1
用紙
Gmund Cotton
販売形態
regular
エディション
25

ABOUT THE WORK


作品について

両手に空いた穴から、物質を取り込み、融合することができる「穴あき(バグラー)」。『バイオーグ・トリニティ』は、そうした人々が日常的に存在する世界を描く。ヒロインのひとり、井本極子(いもと・きわこ)は、バイクと融合したバグラーである。

ハブレスホイールと直線的なフレームに、流線形のカバー。バイクのデザインは未来的だ。ゴーグルをかけ、髪をマフラーのように首に巻き付けた極子は、腕をまっすぐに伸ばしてホーンタイプのハンドルに手を置き、左の指をブレーキレバーに軽く添えている。

幾何学的な効果線の描写に対し、手描きの効果音「ドドドド」は荒削りで、このバイクが非常識的な馬力のエンジンを搭載し、その重い振動を極子の身体に伝えていることを示している。

柔らかくあたたかな女性の身体と、硬いバイクの金属との対比。大暮維人が好んで描くテーマのひとつだが、ここにはさらに、速度と時間の描写が加わっている。

『バイオーグ・トリニティ』は、ふきだし内の台詞の多くが横に組まれる、日本のマンガとしては特異な作品なのだが、ページの綴じ方は標準的なマンガと同じく右開きになっている。従ってコマは右から左、時間も右から左に流れている。

斜め上、前方より極子の全身とバイクを描いた大ゴマから、彼女の顔のクローズアップが描かれた後に、縦長に切り取られたコマは後方からのショットに切り替わる。幾何学的な地面と、光の柱が立つ空。その地平線に向かっていく極子は、疾走しているというより、静止しているかのようだ。続くコマに描かれるのはスピード線のみ。続く2コマには何も描かれず、時間の経過のみが示されている。

爆音を発しながら走っていたはずが、時間が静止し、リアルだったはずの空間は抽象的になり、その抽象的な時空間さえも消失していくかのようだ。

大暮維人の絵をはじめて大型活版平台印刷機で作品化するにあたり、我々はこのシーンを選んだ。柔らかな女性の身体、硬質なマシン、荒削りな擬音が同居する場面である。

繊細さと力強さを両立させるため、スクリーントーン部分を分版しオフセット印刷したうえで、描線を活版印刷でプリント。コットン100%のファインペーパー「グムンドコットン マックスホワイト」に、2種類の方式でパターンと線が表現されている。

「メタバース」という言葉があらためてクローズアップされているが、『バイオーグ・トリニティ』は複数のメタバースを横断し、破壊し、再結合させるような作品である。このシーンの昂まりは、新たな地平、新たなブラックホールの出現を告げている。

*プリントにサイン(直筆)

*綿花を原材料に用いる用紙の特性上、微細な黒点が混じる場合があります。また活版印刷の微妙な色ムラ、微細なインキの飛沫の付着が起こる場合もあります。ご理解のうえ、お申し込みください。

SOURCE ART WORKS’ INFO

初出
「ウルトラジャンプ」2014年10月号
初出年
2014
底本
ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ『バイオーグ・トリニティ』5
底本発売年月日
2014.10.17
制作方式
アナログ
マテリアル
紙にペン
撮影〜スキャンデバイス
Fuji film SCANART 560i
撮影〜スキャン年月日
2014-10-01

ARTIST

Oh!great大暮維人

1972.02.22 ~

1995年「漫画ホットミルク」(白夜書房)掲載『SEPTEMBER KISS』にてデビュー。「ウルトラジャンプ」(集英社)にて『天上天下』、『バイオーグ・トリニティ』(舞城王太郎と共作)、「週刊少年マガジン」(講談社)にて『エア・ギア』を連載。『エア・ギア』では第30回講談社漫画賞少年部門を受賞。アニメ、ゲームのキャラクターデザインも多数手がける。現在は「週刊少年マガジン」誌上で『化物語』(原作:西尾維新)を連載中

TITLE

バイオーグ・トリニティ

掲載誌:ウルトラジャンプ
連載開始年:2011

両掌に穴が空き、好きなものを吸い込んで融合できてしまう病気「バイオ・バグ」。あやういバランスで成り立つ世界を舞台に描かれる青春群像劇。「小説のマンガ化ではなく、マンガの形態をとった小説」を目指し、小説家・舞城王太郎と大暮維人が共同制作した挑戦的な作品。

PUBLISHER

集英社

LABEL

The Press

マンガの起源、活版平台印刷機に立ち返る

モノクロームの物語表現であるマンガは、その草創期から、最も原初的な印刷方式である活版印刷で刷られてきました。現在でも「少年ジャンプ」をはじめとするマンガ誌は、カツリンと通称される活版輪転印刷で制作されています。

一方で、かつては校正刷や少部数印刷のために頻繁に使用されていた活版「平台」印刷機は、目にすることが稀になりました。特にA2サイズの印刷が可能な活版平台印刷機は、日本でも世界でも、稼働が非常に限られたものになっています。

もともと活版印刷に最適化した表現であるマンガを、現在考えうる最高のクオリティの活版印刷で作品化できないだろうか。

これが我々の問いでした。

1960年代製造のハイデルベルグ印刷機による「プレス」

少年ジャンプの印刷を行う共同印刷の協力により、長野県で現役稼働する活版平台印刷機と、この印刷機を稼働させられる熟練のスタッフが見つかりました。1960年代に製造されたドイツ製のハイデルベルグ印刷機を用い、コットン100%のアート用紙「グムンドコットン マックスホワイト」に、強い印圧でプレスする。オフセット印刷でも、リトグラフ印刷でも、シルクスクリーン印刷でも不可能な、物理的なインパクトのある唯一無二の表面。そこに触れると、印刷面が凹んでいることが分かります。

マンガ作品はもちろん、希少になった印刷機と、印刷技術を後世に伝えていくことも目的にしたコレクションです。

オリジナルボックスにブロックチェーン連携販売証明書を同梱

すべての作品は、NFT管理サービス「Startrail PORT」に登録されています。NFCタグシール添付のブロックチェーン連携販売証明書を同梱(嘉瑞工房による活版印刷)。NFCタグシールをスマートフォンでスキャンすることでNFTの情報が閲覧できます。美篶堂制作の、集英社マンガアートヘリテージオリジナルボックスに収納してお送りします。

作品サイズ A2(420mm×594 mm)
使用用紙 グムンドコットン マックスホワイト
出力方式 活版平台印刷
セット内容
作品本体
ブロックチェーン連携販売証明書(嘉瑞工房による活版印刷・NFCタグシール連携)
マット紙
有害物質吸着特殊紙
取扱説明書
収蔵ケース

ブロックチェーンによる真正性担保

最高の品質を担保するため、各作品のエディションを限定。作品の情報とあわせて、作品のあらゆる履歴をブロックチェーン上に永続的に記録できるよう、スタートバーン株式会社が運営するNFT管理サービス「Startrail PORT」を採用。作品の価値を決める様々な情報を永続的に記録します。