
「ONE PIECE」には、紙を横につないで描かれた作品が複数存在する。
それらは、連載10周年記念、20周年記念などのタイミングで描かれてきた。
多くのファンに愛され、ポスターやグッズ、フィギュアなどにもなってきたイメージ。
このイメージを、可能な限り美しく、可能な限り未来に届ける。このために、特別な紙と特別な印刷が選ばれた。

紙は、手漉きの越前和紙。
1865年。幕末の大混乱期に、現・岩野平三郎製紙所は創業した。幕末の大混乱期である。明治時代、初代・岩野平三郎が、絵画制作に優れた「雲肌麻紙」を開発。横山大観らに愛用されることになる。四代目となる現在も、伝統的な原料を用い、長辺3メートルを超える紙を制作。日本で唯一の大判手漉き和紙工場である。

印刷は、コロタイププリント。
実用化された写真製版技法としては最も古いものとされ、定着されたイメージが100年以上残ることが歴史的に実証されている。このため、京都の寺社仏閣の修復記録資料には、コロタイプ印刷による写真が現在でも添付される。1887年、明治時代創業の便利堂は、現在でもカラーのコロタイプ印刷を行う、世界で唯一の工房を持つ。法隆寺金堂壁画の原寸大撮影などを行なってきたこの工房に、製版と印刷を依頼した。
より迫力のある作品にするため、原画を拡大。ビビッドな色彩を再現するため、1枚につき16~17版という、通常の商業印刷の4倍の版を用いた。美しく強靭な和紙でなければ、10回を超える印刷には耐えられない。国宝や重要文化財の複製を数多く行なってきた便利堂コロタイプ工房でも、この数の版を用いるのは初めての試みであるという。イメージをブレることなく正確に合わせてプリントするのは、熟練の職人技術による。
これを3枚分。
計50版を用いた、史上初の作品が完成した。
尾田栄一郎「ONE PIECE / The Scroll」
2024年7月9日(火)〜9月8日(月)
住所: 105-0001 東京都港区虎ノ門5−8−1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA B1
アクセス: 地下鉄日比谷線「神谷町駅」5番出口、出口⑤より、徒歩約1分
営業時間: 11:00~20:00
休廊日: 月曜日 9月9日(月)〜16日(月)展示替えのため休業